院内報道(平成17年3月15日号)

要注意 インフルエンザ流行/今冬は3月に入りピークへ

三寒四温の気候、春はもうそこまでやってきているはずですが、3月12日現在、インフルエンザがまさに今猛威をふるっています。
今冬のインフルエンザ流行状況につき報告しますので、あとの添付資料もどうぞご参照ください。

●立ち上がりの時期遅く、いまだ衰えみられず
 今冬のインフルエンザは小規模流行? と思わせる2月初旬までの静けさでした。しかし、2月中旬に至り急速な立ち上がりを見せました。この3年間ではもっとも遅い時期での立ち上がりです。ちなみに昨冬の立ち上がりは1月下旬、一昨冬は12月下旬でした。昨冬は3月に入ると激減、一昨冬も減少が実感できましたが、今冬は今なお増加中の勢いです。
  
●主役はB型で約6割、しかし4割のA型は現在増加中
 ここ数年A香港型が流行の主役でしたが、今冬は約6割がB型となっています。国立感染症研究所のまとめでは、全国から集まったウイルスの内訳は、Aソ連110、A香港599に対し、Bは1004と6割近くを占めています。
ちなみに昨冬はBの流行はほとんどなく、当院での確認患者さんはすべてAでした。一昨冬は、12月下旬からAが流行、それが消退しだす2月初旬からBが流行という二峰性の流行パターンを示しました。今冬は立ち上がりの時期が遅かったうえ、Bの流行にわずかに遅れてAも出現、AとBが時期を同じくして3月にピークをむかえ、なおも大流行中という状況です。
現在(3月12日)までに当院で診断されたインフルエンザ患者さんは180名、そのうちA、Bの判明した166名に関しては、A73名(44%)、B93名(56%)で、国立感染症研究所の発表した報告と合致しています。

●B型に対しては、インフルエンザ治療薬(タミフル)の効きが緩慢な印象
 治療開始の時期が遅れなければ(通常48時間以内といわれる)、A型に対してはタミフルの切れ味は目を見張るものがあります。Aに対してBはタミフルの効きがやや悪いとは言われますが、臨床現場から、今冬流行のBにはそれを強く感じています。一昨冬の流行では、タミフルの不足から投与日数を2日とすることを余儀なくされましたが、それでも確実に解熱し、A、Bを問わず再燃例の記憶がありません。しかるに今冬のBは解熱も緩慢な症例が多いうえ、いっきに解熱している症例でも3日間で投与を中止した場合、再燃がしばしばある印象です。

★ 今冬はBが主役かと思われましたが、3月に入りBは今なお根強いうえ、Aは増加の勢いです。 流行のピークが3月にずれ込むというのも珍しい展開です。グラフに見るように、当院の患者さんでは、今冬は3月7日から13日までの(第10週)が一番のピークとなっています。
そんな流行であるため、同時期にAに罹患している方とBに罹患している方とが同一家族内にいるご家庭も見受けられます。そうなるとお互いに別の型を再びうつしあうことにもなります。また検査では、AとBの両方に同時に陽性(罹患)の方もおられます。

みなさん、今しばらくご注意ください。


インフルエンザ流行状況(当院での患者発生)


今冬における流行株の推移(当院調査)




院内報道(平成16年10月1日号)

今年も推奨します!インフルエンザワクチン接種
昨年と型が変わりました!

【今年度のインフルエンザワクチン株】 A香港型とB型の株が前年から変更になりました

   
A型株
   
*昨年度株
 (A/パナマ/2007/99)
**昨年度株
 (B/山東/7/97)
   
A/ニューカレドニア/20/99(=Aソ連型)
A/ワイオミング/3/2003* (=A香港型)変更
B型株
   
B/上海/361/2002**

いよいよ10月、これからの約半年間、とくに小児科では診療室がたいへん賑わうシーズンへと突入です。
院長みずから、気を引き締めて半年を乗り切ろうと覚悟を決め、10月1日の診療をスタートさせました。

国立感染症研究所・感染症情報センターの病原微生物検出状況によると、2003年〜2004年の国内インフルエンザウイルス分離数は、Aソ連型(3例)、A香港型(4,477例)、B型(208例)との報告。おおむね、A香港型96%、B型4%となり、B型の散発的流行はそれほど顕著ではなく、最終的にA香港型中心の流行であったと言えます。

院内報道16年4月1日号にも書きましたが、当院で確認したインフルエンザ患者数は、2002年〜2003年の241人に対し、2003年〜2004年は124人と約半数でした。しかるに、当院で確認されたインフルエンザ患者さん全体のうち、ワクチンを接種されていて罹った方の割合を検討したところ、2002年〜2003年は16%に過ぎなかったのに対し2003年〜2004年は34%で、前シーズンと比べワクチン接種者での罹患率がかなり高いという結果でした。「せっかくワクチンを打ったのにインフルエンザに罹ってしまった」と悲観したり、ワクチン効果に疑問をいだかれた方も少なくないでしょう。

年々変異を続けるインフルエンザウイルスに対抗するため、WHO(世界保健機構)は、世界で分離されたウイルス情報を収集後、その解析結果に基づいて「ワクチン推奨株」を発表します。国内のインフルエンザワクチン製造株は、WHO推奨株を参考にしながら、国内のウイルス解析結果を元に、6月ころに発表され直ちにメーカーがワクチンの製造にとりかかります。 大量のインフルエンザワクチン製造には時間と労力がかかります、実際には流行する半年以上前にワクチン株が決定されるので、その後に流行ウイルスの遺伝子の変異が起こってしまっても、改めてワクチンを作り直すというわけにはいきません。

昨シーズンのワクチン株決定までの経緯を見ますと、ワクチン株を決定するにあたり、2003年2月の時点では、世界各地に蔓延したA香港型(H3N2)のうち、それまでのワクチン株であったパナマ株の流行が多いものの、10〜20%はこれとは異なり、その変異株A/Fujian/411/2002様株(熊本株/福建株と呼ばれる)が見られ、この変異株に対する流行が懸念されました。しかし、時間は待ってくれません。この変異株に対するワクチン製造のためのサンプリングには難渋をきたし、ついに結局前年と同様、パナマ株を引き続き推奨株とせざるを得ない事態になりました。パナマ株に対するワクチンがA/Fujian/411/2002に全く無効ではありませんが、変異がおこったウイルスに対しては、有効度の点では劣ることになります。

2003年〜2004年、実際に蓋を開けると、前述のようにA香港型が全体の96%という結果でした。
米国における調査では、2003年〜2004年シーズンのインフルエンザ流行を振り返ると、A香港型のうちワクチン株であるA/パナマ/2007/99は12.7%にすぎず、その変異株A/Fujian/411/2002が87.3%であったという報告があります。国内においても同様に、懸念されたことが事実となり、そのためワクチンの有効度が劣ったことが、先のワクチン接種者での罹患が多かった理由でしょう。10年来ワクチン株と流行株はほぼ一致していたと言われますが、残念ながら、今回は株の変異で有効度が落ちたと言うわけです。

今冬に向けてのインフルエンザワクチンは、このA/fujian/411/2002類似株であるA/ワイオミング/3/2003に変更となっています。また、B型に対しても前年のB/山東/7/97からB/上海/361/2002に変更となりました。
過去の統計から興味深い点があります。(1)Aソ連型とA香港型の両方のAが出現した場合、お互いが協調するため小規模流行である場合が多い、(2)夏季が多雨で低温のときは小規模流行の傾向があるといった点です。
A香港型は、ここ15年連続して出現しており今年も続くと考えられています。Aソ連は昨年、一昨年とほとんど出現しておらず、2年ぶりに出現するのではとの見方があります。それにB型はいつものように多くはなく出現するのでは……そうなると小流行?
今年の6月から8月の天候では、台風の上陸は1951年以降最多の年でした。降水量は南西諸島を除き平年に比べ多くはありません。また、気温は平年を1℃以上上回った地域がほとんどで全体的に暑い夏であったことはみなさん納得されておられるでしょう。少なくとも「夏季が多雨低温なら小流行」との予測には今年は該当しないようです。

世界的に感染力の強い新型ウイルスが近々出現するであろうと懸念されています。こうなると予想は大きく覆されるわけですが、いま各自が積極的に自己防衛の手段を講じることが大切でしょう。まさに「転ばぬ先の杖」「備えあれば憂いなし」を忘れないことが重要です。
ワクチンにより免疫が得られるのは接種2週間後からで、実際に罹患して得られた免疫とは異なり、その持続期間は約5ヶ月です。ですから、毎年接種をすることが必要になります。また、免疫獲得率は70%〜80%と言われています。しかし、実際に罹っても、肺炎、脳炎や脳症、運悪く死亡という確率はワクチン接種をすることで大きく回避されるのです。運悪く罹っても合併症の確率は低くなると言われています。これらの合併症や死亡の大半は小児と老人であることも注意すべき点です。

インフルエンザワクチンの趣旨をよく理解され、本年もできるだけ多くの方が、インフルエンザワクチンを接種されますよう強くお勧めいたします。当院でのインフルエンザワクチンは、すべて予約制、10月15日からの実施となります。流行が始まる前、およそ、12月中旬までには接種を済ませておきたいものです。
【参考文献】
 慶友会ホームページ インフルエンザ情報
 今冬のインフルエンザ予防ワクチンをめぐるジレンマ AP通信 2003.12.14




院内報道(平成16年8月19日号)

来院せずに、携帯・パソコンから順番がとれる
新しい診療受付システム i Ticket(アイチケット)のご紹介と実施について

【待ち時間が長い】これはあるアンケート調査によると、診療所における患者さんたちの不満1位、54%におよぶとのことです。
従来より、時間を指定して、音声ガイダンスに沿って、電話で診療予約をするシステムはありました。しかし、直接来院される患者さん方もいるため、これらの患者さんの診療を、電話予約の方のあいだにどのように挟みこむかという点がネックとなり、時間予約で来院された方の診察時間が大きくずれ込み、クレームとなりかねないという問題がありました。とくに小児科においては、受診者が急増する冬場の外来では、予約時間より1時間も遅れることもしばしばであると、時間予約システムを採用している小児科医から聞いたことがあります。
今回、当院で導入する新しい診療受付システムi Ticket(アイチケット)は、診察時間を予約するものではなく、自宅にいながら、携帯電話かパソコン画面から、診察受付ができるというシステムです。現在の混み具合、現在の診察中の番号もわかり、自分の診察順番のおおよその待ち時間も表示される仕組みとなっています。
携帯電話やパソコンをお持ちでなく、直接来院された方にも不利にはなりません。i Ticket(アイチケット)で受付された方と直接来院されて受付された方の区別なく、一連の番号券が発行されることになっています。

冬場の混乱期、3時間待ちというのを昨年経験しました。医院から近くの方や車の方にはいったんお帰りいただいておりましたが、バス・電車・タクシーでお越しいただいた方などは、いったん帰って出直すということは、煩雑で不便なこと、たいへんご迷惑をおかけしたものと思います。長時間医院で待つことにより、かえって他の病気をもらうことにもなりかねません。
このシステムを導入することにより、当院としましても、冬場のインフルエンザ流行期などは、駐車場待ちや、電話での待ち時間問い合わせなどもかなり減り、比較的スムーズな診療の流れとなるものと期待しているところです。

申し訳ありませんが、当院の受診が初めての方は、このシステムによる受付はできません。
また、予防接種・健診は従来どおり電話による予約受付となります。

  i Ticket(アイチケット)での受付けは、 9月6日(月)より開始
  i Ticket(アイチケット)での受付け時間は、 当日午前8:45〜午前11:30
当日午後3:45〜午後6:30
★ 窓口での受付時間とは異なりますのでご了承ください。




院内報道(平成16年4月1日号)

インフルエンザ終息
今冬のインフルエンザを振り返って

今日から4月、桜の開花も例年より早く満開まであと数日、すっかり春を実感できるようになりました。春到来の声でインフルエンザも終息宣言できそうです。当院では3月13日に確認した患者さんを最後に、それ以降、インフルエンザの患者さんはみられません。今年は結構あっけない幕切れという印象です。
結果的に、今冬は小規模ないし中規模の流行であったようです。昨シーズンは、大規模に近い中規模流行といわれる年でした。当院で確認された今冬のインフルエンザ患者さんは、昨シーズンの約半数という結果でした。以下、今冬のインフルエンザの特徴を振り返ってみました。

【結論】(図表もご参照ください)
(1)今冬、当院で確認した発生数は昨シーズンの約半分でした。
 昨シーズン241人に対し、今冬は124人でした。
(2)今冬の立ち上がりは、昨シーズンより約1ヶ月遅れでした。【図1】
 昨シーズンは立ち上がりが早く、12月下旬よりA型インフルエンザが流行、1月中旬から下旬にピークをむかえ、2月上旬までA型が流行しました。今シーズンの立ち上がりは例年並で、1月中旬よりA型が顔を覗かせ、1月下旬から2月中旬にピークが見られました。しかし、2月下旬より一気に発生は減少し、3月中旬には終息した感があります。 
(3)今冬はB型インフルエンザの流行は見られませんでした。【図1】
 今冬はB型インフルエンザの流行は見られず、当院でB型は1名も確認されませんでした。昨シーズンは、A型の流行がピークを過ぎ始めた2月上旬よりB型も同時に流行し始め、2月後半から3月初旬はB型一色になりました。そのため、グラフに見るように昨シーズンは、2月下旬から3月上旬にかけても患者数に山がみられます。今シーズンB型が流行しなかったことは、全体としてインフルエンザ発生数が少なかった理由の一つと言えるでしょう。
(4)ワクチン接種者での発症が、昨シーズンよりかなり多く見られました。【図2】
 昨シーズン当院で確認されたインフルエンザ患者さん全241人のうち、ワクチンを接種されていた方は39人で、インフルエンザ患者さん全体の16%でした。それに対し、今シーズン確認された患者さん124人のうち、ワクチンを接種されていた方は42人で、これは患者さん全体の34%でした。昨年に比べ、ワクチン接種者での罹患率がかなり高かったと言えます。この理由として、今冬流行したA香港型(AH3N2)は、大部分が熊本株(米国においては福建型と呼ばれる)で、今シーズン流行すると予測され、ワクチンに使用されたパナマ株と抗原性が異なったため、その有効度が落ちたことに起因すると考えられます。
 インフルエンザウイルスの遺伝子に変異が起こると、変異する前のインフルエンザウイルスに対応して出来た免疫では、変異後は有効度が落ちてしまいます。毎年度、最近流行していたインフルエンザウイルスの株を使ってワクチンは更新されます。インフルエンザウイルスの遺伝子が持続的に変異しうる関係上、毎年度インフルエンザワクチンを接種しなければ有効な免疫が獲得できないというわけです。

 WHO(世界保健機関)は、2003年10月から2004年4月にかけての北半球世界でのインフルエンザワクチン推奨株を、2003年3月に提示しました。これは、2002年10月から2003年2月の北半球世界で発生したインフルエンザのうち、流行が多く見られたインフルエンザウイルスに基づき、抗原的にそのウイルスに一番近いインフルエンザウイルス株を、A香港型、Aソ連型、B型の中から一つずつ選んで次期シーズンの予測を打ち出し、インフルエンザワクチン作製のために推奨したものです。Aソ連型とB型については2003年2月に提示されましたが、A香港(H3N2)型については、1ヶ月延期されて2003年3月の提示となりました。このいきさつとして、2003年2月の時点では、A香港型(H3N2)ではパナマ株の分離が多いものの、世界各地に蔓延したA香港型(H3N2)の10〜20%がこれとは異なる新種のA/Fujian/411/2002様株(熊本株と呼ばれる・アメリカでは福建型という)であり、この新種のウイルスによる流行が懸念されたためです。しかし、結果的にはA香港(H3N2)福建型のウイルスに対するワクチン製造のためのサンプル分離に難渋、その時点で多数を占めるのはやはりパナマ株という二つの理由で、過去5年間A香港型に対する予防に用いられてきたパナマ株が引き続き推奨株となったのでした。

 大量のインフルエンザワクチンの製造には時間と労力がかかります、実際には流行する半年以上前にワクチン株が決定されるので、その後に流行ウイルスの遺伝子の変異が起こってしまうと、改めてワクチンを作り直すというわけにはいきません。実際に流行が始まってみないと、流行ウイルスの遺伝子の変異が分からないという点では、その年のワクチン効果の未知数的部分はあると言えるかもしれません。しかし、流行ウイルスがワクチン株ウイルスと遺伝子的にかけ離れたものとなった場合も、インフルエンザの発症を予防する点においての効果は減るものの、重症化や死亡を防ぐ点においてのワクチン効果はあるとされています。

 今冬はB型インフルエンザは流行しなかったものの、A型の流行株は予測されたワクチン株とは一致しなかったようです。しかし、ウイルスの抗原性は連続的に変異していくものです。今冬問題となった鳥インフルエンザが、人から人へ伝染するような抗原性を持つウイルスへと変異すれば、その時は従来のワクチンでは全くたちうちできなくなるでしょう。
 2000年のインフルエンザ流行時、当時新種へのワクチン切り替えの時期で供給が遅れ、また、需要に見合う製造がされなかったことから、医療現場でワクチン不足を招きました。個人的見解ですが、来冬に向けてのインフルエンザワクチン推奨株は、A香港型に関しては変わる可能性が大きいように考えます。老若を問わず、新種のウイルスに対しては免疫を持つ人は少なく、やはり自己防衛としては、積極的なワクチン接種しかないと思います。
 インフルエンザ特効薬の開発で、早期に治療を開始すれば症状の軽症化が図られるようにはなりました。しかし、重症化や死亡を免れるためには特効薬があるからと甘く見ることなく、積極的なワクチン接種を受け、自らが自らを予防するという姿勢が肝心だと思う次第です。来冬に向けてのワクチン供給がスムーズであることを望んでいます。

【参考文献】
 (1)インフルエンザワクチンについて 横浜市衛生研究所ホームページ
 (2)今冬のインフルエンザワクチンをめぐるジレンマ
     WIRED NEWS 2003.12.14(日本語版:中沢滋/多々良和臣)


【図1】流行状況(昨シーズンとの比較:当院)

インフルエンザ流行状況(昨シーズンとの比較):当院患者発生数
週数
昨シーズン
今シーズン
 第51週 
 12/16〜12/22 
 12/15〜12/21 
 第52週 
 12/23〜12/29 
 12/22〜12/28 
第1週
12/30〜1/5
12/29〜1/4
第2週
1/6〜1/12
1/5〜1/11
第3週
1/13〜1/19
1/12〜1/18
第4週
1/20〜1/26
1/19〜1/25
第5週
1/27〜2/2
1/26〜2/1
第6週
2/3〜2/9
2/2〜2/8
第7週
2/10〜2/16
2/9〜2/15
第8週
2/17〜2/23
2/16〜2/22
第9週
2/24〜3/2
2/23〜3/1
第10週
3/3〜3/9
3/2〜3/8
第11週
3/10〜3/16
3/9〜3/15
第12週
3/17〜3/23
3/16〜3/22

【図2】罹患とワクチン接種の有無

インフルエンザ患者全124名とワクチン接種の有無
【今シーズン:当院】
インフルエンザ患者全241名とワクチン接種の有無
【昨シーズン:当院】



院内報道(平成16年2月5日号)

小規模流行との予測? でも果たして本当?!
ジリジリと迫り来る、今冬のインフルエンザ

 節分と言えば豆まきを連想しますが、暦のうえで立春の前日が節分に当たり、字のごとく季節を分ける日となります。昨日2月4日は立春で、もう暦の上では春ですが、まだまだこれからが寒さ本番といったところです。

 インフルエンザ旋風が巻き起こった昨冬でしたが、「今冬は昨冬より約1ヶ月遅れ、しかし、確実に」を実感するようになったこの2週間ほどの診療室風景です。2月4
日までに、54人の患者さんを確認しました。今のところ、すべてA型インフルエンザですが、近辺で一部B型も顔を覗かせたという情報も入っています。昨冬に比べ中学生以上の比較的年齢の高い子どもにも目立つようです。インフルエンザワクチンを接種された人でも発症する場合もありますので、受けたからと言って侮れないところですが、いくぶん軽症化がはかられている印象を受けます。

 タミフルをはじめとするインフルエンザ特効薬、インフルエンザ迅速診断の検査キットが大きく不足し、診療に混乱を来たした昨冬でしたが、幸い今年は治療薬が増産されたこと、買占めが出来なくなっていることなどで、今のところ供給においてはスムーズにいっている点は幸いなところです。
 昨冬のインフルエンザ最盛期には、当院では、インフルエンザと診断されてもタミフルを1日半処方するのが精一杯の時がありました。検査キットも底をつく寸前で、希望されても検査できないこともありました。私としての昨年の感触では、タミフルを3日投与した人で、症状の再発はほとんどみられませんでしたが、1日半の投与では、いったん解熱しても一部の症例に再燃がみられました。インフルエンザと診断した場合、今のところ、3日分の処方が行えています。
 当院では、インフルエンザと診断した場合、必ず熱型表をお渡しし、お家で熱を記録してもらい、次回診察時に見せてもらっています。ほとんどの症例では、処方は3日でよさそうですが、やや不安定な熱型の場合には、あと2日分の処方をする場合があります。インフルエンザと診断しても、熱型からそれ以外に細菌などの混合感染を疑わす例が一部にあり、その場合は、血液検査やレントゲン検査の実施、タミフル以外の抗生物質の投与も必要なことがあります。そういった意味において、お家で記録していただく熱型記録を私はとても重要視しています。

 今年1月2日、タミフルの発売元である米国ロシュ社は、タミフルを「1歳未満の乳児には使用しないように」と医師に注意を呼びかけています。ラットを用いた動物実験で、脳内におけるタミフルの濃度が成熟ラットに比べ幼若ラットでは1500倍も高く、血液脳関門(Blood-brain-barrier略してB.B.B)という、簡単に言えば、血液中から脳へ移行する物質とそうでない物質を識別するフィルター的役割を果たす部分ですが、乳児以下においてはB.B.Bが未熟なため、容易に脳内へ薬を移行してしまうことになるという観点からです。このB.B.Bはほぼ1歳で十分に成熟されると考えられるのですが、乳児以下の年齢では、この危険性が予測できないため、使用できなくなりました。
 A型インフルエンザには、タミフル以外にシンメトレルという薬も有効ですが、B型インフルエンザにはこのシンメトレルは無効で、タミフル以外にB型に有効なリレンザという吸入薬はあるものの、手技的に1歳未満の乳児がこれを用いることは不可能です。ですから、乳児がB型インフルエンザに罹患した場合、特効薬のなかった時代と同じ対応しかできないのです。
 ますます自己防衛の必要性が高まったように認識します。ワクチンを受けておれば、運悪く罹っても脳炎や死亡につながる確率はぐっと減ります。脳炎はほとんどが小児です。小まめな手洗い、うがいは元より、不用意な外出を避けること、特に乳児のいるご家庭や、乳児を保育園にいかせているご家庭の方は、決してインフルエンザを家庭内に持ち込まないように、家族ぐるみでワクチンを接種し自己防衛をはかること、そんな一人一人の認識がますます大切で重要な意味を持つようになるのではと考えます。

※今冬のインフルエンザ発生状況を次の表に示しました。ご参考までに。


■この冬における当院でのインフルエンザ患者発生状況■


 昨シーズン 
 今シーズン 
12月19日
4

20日
2

21日


22日


23日


24日
5

25日


26日
3

27日
1

28日
1

29日


30日


31日


1月1日


2日


3日


4日


5日


6日
4

7日
1

8日
3

9日
9

10日
6

11日
3

12日



 昨シーズン 
 今シーズン 
1月13日


14日
10

15日
1

16日
6
1
17日
5

18日
7

19日

1
20日
9
1
21日
9
1
22日
2
3
23日
13
4
24日
2
3
25日
10
1
26日

1
27日
8
6
28日
1
3
29日
3

30日
6
11
31日
5
10
2月1日
4

2日

6
3日
6
8
4日
5
5
合計
154
64

    
 は、休診日です 



院内報道(平成15年10月1日号)

転ばぬ先の杖
インフルエンザには、自己防衛の意識徹底を!

前代未聞とも言うべき残暑もようやく遠のき、しっかりと肌で秋を感じ取れる季節となってきました。この季節の変わり目で、風邪や喘息の患者さんも目立ち始めているところです。
【小児科】という診療科の1年をみると、毎年ほぼ一致しておもしろい現象が見られます。比較的患者数が少なく、ゆったりと診療に臨める4月から9月の上半期6ヶ月間と、多忙を極める10月から3月の下半期6ヶ月間とに大きく二分されることです。特に急性の感染症患者さんが主体となる診療所レベルでの小児科では、この傾向は他のどの診療科よりも明確かと思われます。文頭にも申し上げたように、秋の気配とともに風邪や喘息の患者さんが目立ち始めています。引き続く冬の到来とともに、インフルエンザの流行が危惧されるところでもあります。

開院後そんな下半期2回目へと、まさに突入しつつある今であることを、院長自らが再認識してこの院内報道10月1日号を執筆しております。

インフルエンザはここ数年毎年のように流行をみせており、体力のない乳幼児や高齢者では特に油断禁物です。合併症としての肺炎、心筋炎、脳炎・脳症で死亡したり後遺症を残す事例は、小児だけでも日本で毎年200例にのぼると集計されています。
インフルエンザを風邪の一種と考えたり、罹れば特効薬があるといった安易な考えでは、大きな落とし穴がありますので、一人一人が「転ばぬ先の杖」であるワクチン接種で自己防衛をはかることが肝要です。社会全体がこの認識を持つことで、集団内での流行が阻止でき、広い視野でいう社会防衛がはかれるというものです。
この10年、ワクチン株と流行株とはほぼ100%一致しています。ワクチンによる免疫獲得率は、70%から80%という統計があり、残念ながら、受けていれば絶対罹らないとはいえませんが、運悪く罹っても軽症化がはかられ、脳炎などの合併症による死亡は、受けていない人よりも有意に少ないとの報告があります。
ワクチンによる免疫は、接種後2週間ででき始め、約5ヶ月有効と言われています。マスコミ等で、流行が報道されてからでは遅すぎます。12月中旬には接種を終えていることが望ましいでしょう。

昨シーズン当院で接種を受けられた方は433人でした。今年は昨年よりもいくぶん多めにワクチンを確保してはいますが、なくなり次第、当院での予約受付は終了とさせていただきます。
昨シーズン当院でインフルエンザと診断された患者さんは241人です。12月19日の第1号患者さん3人に始まり、最終確認の患者さんは3月17日でした。12月下旬から1月中旬のA型の流行に始まり、1月下旬から2月上旬はA/B両タイプが流行、2月中旬以降はB型の流行でした。流行が予想以上であったため、検査キットや特効薬は入手困難な状況下に陥り、各医療現場で混乱をきたしたことは記憶に新しいところです。

昨シーズン、当院でインフルエンザと診断れた上記241人の患者さんについて、ワクチンを接種していたかどうかにつき調査した結果が2枚目のグラフです。
「転ばぬ先の杖」としてご参考になればと思います。


インフルエンザと診断された241人の内訳(当院での昨冬の結果)




院内報道(平成15年7月5日号)

手足口病・ヘルパンギーナ・水痘が流行中!
知っておこう、子どもの病気・豆知識

いま、手足口病、ヘルパンギーナ、水痘が流行っています。
京都府南部の感染症サーベイランスによると、6月の1位から4位にいずれも入っています。

1)手足口病
口の中(舌、上あご、ほっぺたの裏)に口内炎や、手足の末端を中心に、赤い虫刺され様の水疱をともなう発疹ができます。おしりや膝にもできることがあります。水疱は水ぼうそうのように、破れたりかさぶたにはなりません。水疱をともなう発疹は、徐々に赤さがくすんであめ色になります。発熱がみられるのは、1/3程度です。
夏に多いウイルス疾患で、コクサッキーA16やエンテロ71というウイルスでおこりますが、他の種類のウイルスもあります。潜伏期は3〜4日、主に空気感染です。幼児に多く発症します。
特別の薬はありません。当院では、状態がよければ薬は何も出さないか、口内炎用の塗り薬やトローチ、解熱剤を処方することがあります。口の中の違和感や痛みで、食べづらいのがネックとなります。くすりよりも、口にしみない飲み物やたべものを小まめに与え、脱水にならないようにするほうが大事です。
はっきりと、学校保健法で登校停止が定められてはいませんが、集団生活の場で広がりますので、発症後2,3日は自粛される方が無難でしょう。
予後はよいですが、たまに無菌性髄膜炎の合併があります。経過中に発熱とともに、ひどい頭痛や嘔吐が見られるときは再診してください。

(2)ヘルパンギーナ
のどを中心に、周囲に赤みをともなった水疱が数個から10個以上でき、痛がります。38℃から40℃の高熱を伴います。手足にはできません。
やはり、手足口病と同じく夏に多いウイルス疾患で、コクサッキーA2・4・5・8・10型やエコーウイルスが原因ですが、他の種類のウイルスでも起こります。潜伏期は2〜4日、空気感染です。発症前日から数日間が最も伝染力が大きいです。主に幼児に発症します。
やはり、特別な薬はなく対症療法です。熱には解熱剤を、のどの痛みにトローチや消炎剤を出すことがあります。細菌の合併感染が疑われる時、また、所見により抗生剤を出すことがありますが、ヘルパンギーナ自体には抗生剤は無効です。のどの痛みが強く、特に小さい子供では飲食を拒否し、脱水になることがあります。そのときは点滴をして、状態を改善させる必要がある場合もあります。濃い味付けは避け、小まめに水分補給を心がけることが重要です。
予後は良好ですが、手足口病と同じく、たまに無菌性髄膜炎を起こすことがあります。
登校に関しては、手足口病と同じです。
手足口病やヘルパンギーナは、原因ウイルスが1つではないため、別のウイルスが流行すれば、毎年かかることがあります。一夏に2度、手足口病やヘルパンギーナにかかることもあります。
ワクチンはありません。概して幼児を中心とする子供の病気ですが、まれなタイプのウイルスによる発症が流行した場合、年齢層が広がり、大人でも発症する場合があります。

(3)水痘(水ぼうそう)
虫刺され様の少し盛り上がった発疹(丘疹)が体のどの部分にもでき(頭や口の中も)、それが1,2日で水ぶくれ(水疱)となり、破れてかさぶたになります。数日間にわたり発疹が新しく出ますので、丘疹、水疱、かさぶたが入り混じって見られます。熱は必ず出るとは限りません。
空気感染で、潜伏期は14日から21日で、水痘−帯状疱疹ウイルスが原因です。母体からの免疫効果が期待できないため、新生児や乳児期初期での発症もあります。赤ちゃんも注意してください。大人でも免疫のない人は、子供からうつり、重症となる場合があります。
幸い今では、水痘ウイルスに対する特攻薬がありますので、早期に治療を開始すると、軽症化がはかれます。お薬はアシクロビルという一般名で、ゾビラックス、アストリック、グロスパールなど、いくつかの商品名があります。かゆみがあるので塗り薬が出ます。カチリという塗り薬です。かゆみを軽減し、はやくかさぶたにします。かさぶたになった所は、もう塗る必要はありません。
お風呂は、熱がなく状態がよければ、発疹を強くこすらないよう注意し、なで洗い程度ならよいでしょう。特に夏場、入浴を制限することで返ってかゆみを増し、無意識にひっかいた結果、飛び火などに発展させる原因をつくります。
学校保健法で、すべてがかさぶたになるまで(こうなるまで伝染力がある)、登校はできません。
20年くらい前までは、かかると重症化する基礎疾患のある子供さんだけを対象にワクチンが作られていました。しかし今では、希望すればワクチンの接種ができます。受けておれば、発症を免れたり、発症しても軽症化がはかれることがあります。注射による免疫獲得率としては、80パーセントくらいです。ただし、任意接種になるため、年齢にかかわらず、有料です。
水ぼうそうにかかると、そのウイルスは知覚神経内にとどまり、免疫力が低下したときや、風邪や紫外線が引き金となり、帯状疱疹(ヘルペス)という形で再発することがあります。神経の走行に反って、体の左か右といった半身に、帯状にピリピリと痛痒い水疱ができます。(口の中や口の周りにできるヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが原因で、帯状疱疹を指して言うヘルペスとは別です。)帯状疱疹は、大人に多く子供ではまれです。水痘になったことがなく、いきなり帯状疱疹が発症することはありません。




院内報道(平成15年4月5日号)

「お薬いやいや、大嫌い!」そんな子いませんか? 
 ・・当院の新しい約束処方「ATEM(アテム)」のご紹介・・

 インフルエンザもすっかり影を潜め、当院で確認した最後の患者さんは3月17日でした。
 私の通勤路にあたる宇治川河畔の桜も、今日はもう満開間近でした。自然の織り成す風景や気候もさることながら、比較的ゆったりとした気持ちで臨めたこの2週間ほどの診療風景からも、今まさに春到来を強く印象付けられております。

 さて、「小児科」という科を診療していると、薬に対する子どもの反応は様々なのが分かります。
 お薬の大嫌いな子の親御さんからは、「どうやって飲ませたらいいのでしょう。」という相談をよく受けます。必死に飲ませようとすればするほど、警戒して飲み物や食べ物まで拒否するようになったという話を聞くこともあります。逆に、お薬が大好きな子がいます。「今日はお薬出しません。」というと、「なんでぇー」と不満そうに言う子がいます。診察室を出て行ったあとも、お母さんに「なんでお薬ないのー」と再度尋ねている声が聞かれたりします。冷蔵庫に入れてあった水薬を勝手に出して全部飲んでしまった、という子どもの話もあります。事故につながりますので注意が必要です。
 剤型においても様々です。「こなぐすり」しかのめない子、「水ぐすり」しかのめない子、「錠剤」しかのめない子、そして一番手ごわい、やっかいな「全部のめない子」がいます。同じ薬で、剤型が水、こな、錠剤とそろっているものもあります。「水、こなどちらがいいですか?」と尋ねると「よく効く方を出してください。」と言われるお母さんがいますが、剤型の違いだけで効果は同じです。
 「こなぐすり」と「水ぐすり」は微調整が可能なため、小児科領域では出しやすい剤型といえます。「さじ加減」という言葉がありますが、「こな」と「水」はさじ加減が可能です。「錠剤」はこのさじ加減ができないため、小さい子どもでは不便な場合があります。さらに小児用の錠剤はあまり種類が多くありません。
 確かに大人がのんでみても、「まずい」「苦い」薬はありますね。小児用の抗生物質には、甘みや香りをつけて味をよくしてあるものも多いのですが、かえってこれが苦手、いわゆる「まずい」「苦い」薬の方を好む子どもがたまにいるようです。概して、「まずい」「苦い」薬は少ない量ですむことが多いのですが、「おいしい」薬は量がかさむのが難点です。

 当院で約束処方として調合している風邪ぐすりのうち、C散とR散は多少の苦味を感じます。
 どうしてもお薬が苦手な子どもさんにも抵抗が少ないような薬をと考え、近日中に、この改良版として、ATEM(アテム)と名づけた当院独自の調合処方を試験使用してみます。オレンジとピーチのミックスフルーツ味の仕上がりです。
 スタッフ共々味見をしましたが、合格品です。
 「薬が苦手」なお子さんをお持ちのお母さん、診察時に是非ご相談ください。


利点
欠点
C散/R散
量が少なくてすむ
多少の苦味
ATEM
おいしい
量がかさばる



院内報道(平成15年3月6日号)

インフルエンザの流行やや下火なるもいましばらくは要注意
・・今冬の流行を振り返って・・

 3月に入り窓辺に春の日差しを感じる日も出てきましたが、昨日、一昨日と医院近辺には小雪が舞い散るなど、啓蟄とはいえ、まだ不順な気候であることを思い知らされます。こういった、短い周期での気候の変動で体調を崩されておられる方はおられませんか?

 前回の院内報でも述べましたが、今冬は予想以上にインフルエンザが流行、インフルエンザの特効薬であるタミフル、シンメトレル、リレンザをはじめ、検査キットの品薄も手伝い、当院もさることながら、診療という場で苦慮された医療機関が数多かったかと思われます。

当院では、12月19日に第1号の患者さん3人を確認してから本日までに227人の患者さんをインフルエンザと診断、治療させていただきました。当院における、インフルエンザ患者数の推移、および流行型などを2枚目、3枚目に図表に示しましたので、ご参照下さい。当院におけるこの患者推移は、京都府医師会が行っている京都府下での感染症サーベイランスの推移とほぼ一致しております。12月下旬から1月のA型インフルエンザの流行、1月下旬から2月初旬はA型の減少とともにB型が流行の兆しを見せ、2月中旬以降現在までは、すべてB型という動きが見られます。この1週間を振り返ると、B型もやや減少傾向かという印象ですが、まだ1日2,3名の患者さんは確認されるところです。いましばらくは、注意が必要と考えます。

昨年10月15日から、12月下旬までに当院でインフルエンザ予防注射を受けられた方は、集計の結果、433人でした。現在まで当院で確認されたインフルエンザ患者さんは、227人です。そのうち、ワクチンを受けておられない方が191人、受けておられてかかってしまった方が36人でした。
インフルエンザ患者数
227
うちワクチン未接種者
191
うちワクチン接種者
36

★★ みなさんは、この数値をどうお読みになられるでしょうか? ★★

 インフルエンザワクチンによる免疫獲得率は、約70%という報告があります。しかし、受けておれば、重症化が防げ、脳炎の合併や死亡例は未接種者と比べ有意に低くなると言われています。受けておられてかかってしまわれた方でも、それなりの意義はあったとお考えください。また、特効薬があるから受けなくていいという考えは禁物です。
 インフルエンザの集団接種がなくなってから、学校での蔓延にともなう学級閉鎖、学年閉鎖の声を今年もいくつか耳にしました。一人一人の個人防衛が、集団社会での疾病の予防につながる、それはインフルエンザばかりではありません。予防接種の持つ意義をいま一度考えてみましょう。



■この冬における当院でのインフルエンザ患者発生状況■

月日
 発生件数 
流行型
コメント
 第51週 
 12/16〜12/22 
6
A型
12/19 第1号患者さん3名確認
 第52週 
 12/23〜12/29 
10


第1週
12/30〜1/5
?

年末年始休診
第2週
1/6〜1/12
26
A型

第3週
1/13〜1/19
29


第4週
1/20〜1/26
45
 A型 > B型 
 1/25 B型第1号患者さん3名確認 
第5週
1/27〜2/2
27


第6週
2/3〜2/9
24
 B型 ≫ A型 

第7週
2/10〜2/16
18

2/15 A型確認最終の患者さん
第8週
2/17〜2/23
23
B型

第9週
2/24〜3/2
13





院内報道(平成15年2月10日号)

「インフルエンザ」なおも流行中! 診療室での医師としてのジレンマ

 当院でこの冬インフルエンザ患者さんの第1号を確認したのは、12月19日の計4名でした。当初は、例年程度の中規模流行との予測が打ち出されていましたが、予想以上に立ち上がりの時期が早く、また、患者数においても予測をはるかに超える流行が各地で発生しています。
 昨冬の流行は2月に入ってからで、しかも小規模でした。

 3年ほど前までは、インフルエンザと診断する手段として、臨床症状以外で確定診断するには、症状の急性期と回復期で2回の採血を行い、インフルエンザウイルスの抗体価を測定、その値に有意差がある場合にインフルエンザと確定診断する方法と、鼻咽頭粘膜から採取した検体からウイルスを分離培養して診断する方法でしたが、ともに1週間から4週間ほどの期間を要し、結果的にはインフルエンザと診断しえても、治療に反映されるタイムリーな検査ではありませんでした。2年前の冬、A型インフルエンザを診断する迅速キットが開発されるとともに、A型インフルエンザの治療にシンメトレル(塩酸アマンタジン)が認可され、臨床の場におけるインフルエンザ治療の画期的時代が到来したことに感動させられた日の事を思い出します。そして、昨年には、A型・B型ともに著功を奏すタミフル(リン酸オセルタミビル)という特効薬が開発され、さらに治療の場が広がりました。昨年までタミフルは成人のみの適応でしたが、今冬よりその小児用製剤/タミフルドライシロップが開発されるとともに、A型・B型の鑑別診断ができる迅速キットも開発され、小児の患者さんにも治療範囲が拡大され、効果が期待されるはずでした。

 しかし、マスコミなどで皆さんご周知かと思いますが、輸入に頼っているタミフルは、予想以上の流行のため安定供給には至らず、ましてや小児用製剤であるタミフルドライシロップは、もうすでにほとんどの医療機関で底を尽きている状態です。また、迅速キットすら生産が追いつかず、キットの入手すら困難な状況下で、これも底をついた医療機関が出てきているのが現状です。

 前回の院内報に書きましたように、インフルエンザ治療の開始は時間との勝負でもあります。
発症後48時間を過ぎると、体内でのウイルスの増殖をもはや特効薬でさえ抑えることができなくなるからです。待合室にも掲示してある 
<急な高熱なら【48時間】を思い出す> という患者さんへのいわば啓蒙のポスター、マスコミからの情報などで、この時期、多くの患者さんがほとんど発熱当日、または翌日には来院されているという印象を受けます。そして、そういった患者さんの多くが、インフルエンザなのか、違うのかに神経をピリピリさせておられます。

 薬の乱用は、その薬に対する耐性菌(ウイルス)を作ってしまうため、医療の現場では慎むべきことですが、現にインフルエンザと診断した患者さんに投与するに足る薬がないという現状なのです。そして、今季における私なりの経験上、発症数時間以内では、迅速キットで検査しても、陽性に出るべき患者さんでも陰性という結果であることをかなりの数で経験しました。そのいい例が家族内での発症例です。インフルエンザの潜伏期間は1日ないし3日です。検査にて確定診断された患者さんの家族で、1〜3日後、同様な症状を訴え、高熱の出現後すぐさま駆けつけて来られる場合が多くあります。しかし、こういった患者さん(発症数時間以内)で検査を行っても陰性例が多いです。ちなみに、そういった陰性の方に翌日再診していただき再検査してみると陽性と出るのです。しかし、検査キットの不足や保険診療上の問題もあり、連日の迅速検査の実施は事実上不可能といえます。

 検査キットや治療薬が欲しいだけ手に入るのなら、あれこれと悩まず診療ができるのに・・・診療に臨む医師としての立場の背景に、そんなやりきれない気持ちを今余儀なくされています。

 インフルエンザ治療薬が開発される以前は、インフルエンザと診断しても対症療法しかありませんでした。すなわち、二次感染予防や混合感染に対しての抗生物質投与、咳止め、解熱剤など症状を軽減させる薬の使用、ぐったりしている場合は点滴による水分や糖分の補給などで、あとはゆっくり休養をとらせ、栄養や水分補給を心がけるなどして体力をできるだけ温存し、ウイルスの増殖が終結するのを待つ・・インフルエンザ治療は、いわば日にち薬的感覚の部分もありました。しかし、現に特効薬が開発され、その薬のキレのすばらしさをまざまざと臨床の場でみせつけられてきたこの2、3年です。治療薬不足のため悲惨な結果を招いたなどという事例が皆無であることを祈りつつ、来冬こそは、インフルエンザへのゆとりある診療と治療が保証されることを切に望む次第です。

■みなさまへのお願いとおことわり

●インフルエンザ迅速検査で陽性に出れば、インフルエンザと確定診断できます。できる限
りの対応はさせていただきます。
●迅速検査が陰性の方の中には、検査実施のタイミングにより、一部に陽性例が含まれると思われます。とくに家族内で陽性と確定診断された方がいる場合には、さらに疑いは濃厚です。陰性と出ても、その後の経過がインフルエンザを強く疑うものならば、すみやかに再診されることが必要です。
●発症より数時間では、陽性に出るべき場合でも陰性結果となる場合が多い印象があります。だからと言って、ある程度の時間が経過するのを自宅待機するのではなく、できるだけすみやかに一度受診してください。すぐさま検査を実施せず翌日に再診していただき、そのときに検査を実施する場合もありますが、なにぶんキット数や治療薬がたいへん不足しています。以上ご理解とご了承をお願いする次第です。とりあえず一度早めに受診いただき、そのとき診察で所見をとらせていただくことは、臨床経過を追ううえでも、また、インフルエンザか否かの臨床診断をするうえでもとても重要なことなのです。
●1月後半までは、A型が主流でしたが、2月に入りB型がぐっと増加、流行してきています。A型にかかった方で再度B型にもかかった方が数名おられます。ご注意ください。また、ワクチン接種された方での発症もかなり見受けられています。


■この冬における当院でのインフルエンザ患者発生状況■


 発生件数 
(*)

 確診件数 
(**)

 週ごとの 
 発生件数 
12月19日
4
4
6人
20日
2
2
21日


22日


23日


10人
24日
5
3
25日


26日
3
3
27日
1
1
28日
1
1
29日


30日



31日


1月1日


2日


3日


4日


5日


6日
4
3
26人
7日
1
1
8日
3
2
9日
9
5
10日
6
6
11日
3

12日



    
 は、休診日です 

 発生件数 
(*)

 確診件数 
(**)

 週ごとの 
 発生件数 
1月13日


29人
14日
10
10
15日
1
1
16日
6

17日
5
5
18日
7
6
19日


20日
9
6
45人
21日
9
4
22日
2
2
23日
13
8
24日
2
2
25日
10
7
26日


27日
8
3
27人
28日
1
1
29日
3
1
30日
6
2
31日
5
3
2月1日
4
3
2日


3日
6
2
24人
4日
5
3
5日
1
1
6日
4
4
7日
6
5
8日
2
1
9日


合計
167
111


(*)発生件数とは、迅速検査の陽性例と陰性例のうち症状・経過からインフルエンザと診断して治療薬を投与した件数の合計
(**)確診件数とは、迅速検査が陽性、インフルエンザと確定診断して治療薬を投与した件数

●2月9日現在、当院で167名の患者発生がありました。
●12月19日に第1号の患者さんを確認してから、患者発生のない日はわずか2日のみです。




院内報道(平成14年12月24日号)

宇治市でもインフルエンザ流行の兆しか!急な高熱なら「48」を思い出す
先週後半から、当院でもインフルエンザの患者さんが見受けられます。
昨年よりも早い時期からインフルエンザが発生しています。ご注意ください。
当院でインフルエンザと確定診断された患者さんは、19日4人、20日2人です。
今後年末・年始にさらに増えるのではないか危惧されるところです。
 
インフルエンザは、ふつうのかぜとは異なります。
下記のインフルエンザ・チェックリストをもとに、症状が疑わしければ、
発症48時間以内にすみやかに受診し治療を開始することが、脳炎などの合併症に至らせないためにも肝心です。
インフルエンザの特効薬が開発され、その小児用製剤の使用も今年から可能になりました。しかし、48時間をすぎると、体の中でのウイルスの増殖をおさえることができず、せっかくの特効薬も役割が果たせません。また、特効薬の使用に際しては、検査により確定診断を下す必要があります。乱用を避ける必要があるのはもちろんのこと、現在のところ、小児用製剤は入手がとても困難な状況下にあります。欲しいだけ手に入れることができません。どの医療機関も特効薬をストックはできず、患者さんが発生したところから優先的に、ごくわずかのみ入手できるといった現状なのです。

◎インフルエンザの症状
38℃から40℃の悪寒をともなう発熱、頭痛・激しいだるさ・筋肉痛・関節痛などの症状で
急激な発症を特徴とします。せき・鼻水・のどの痛みなどはやや遅れて現れます。

●インフルエンザ・チェックリスト
 
重要ポイント
  この3つのチェックポイントがそろうことが、インフルエンザの特徴です。
   □ 地域内でのインフルエンザの流行
   □ 38℃以上の発熱/悪寒
   □ 急激な発症
 
要注意ポイント
  重要ポイント以外、つぎの点でもインフルエンザを疑いましょう。
   □ 関節痛/筋肉痛
   □ 倦怠感/疲労感
   □ 寝込む
  いわゆる次の“かぜ症状”はほとんど同時か、やや遅れて現れます。
   □ せき/鼻水/くしゃみ
   □ のどの炎症



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